人類学者ロビン・ダンパーの「宗教の起源」で、宗教(超越的な存在を信じる)と医術は、人類の進化の起源が同じものであるとしています。
人類が宗教を生み出すためには、「メンタライジング」能力、つまり、自分以外の他者も自分と同じような思考すると想定する能力、それは「***は++と考えると、私は考える」などという階層的な思考法が可能になる脳の高次機能が、進化上獲得されたことによって、可能になり、その階層が5次を超えたところで、超越的な存在を想定するようになるということです。
それに加えて、脳内にエンドルフィンという強烈な陶酔感を生み出す神経物質が生成されるようになり、宗教的な幻覚や幻視、神の存在を感じるために、宗教的な儀式や集団での礼拝や合唱、踊りなど、エンドルフィンを放出させるような行為をすることによって、生み出されたようです。
多くの宗教においては、シャーマンやカリスマ教祖が、必ず病む者を癒す行為が行われます。
西洋医学の分野でも、近年「精神神経免疫学」という分野横断的な概念が生まれてきています。
東洋医学をふくむ古来からの医術においては、精神の作用が、神経、免疫と深く結びつくと考えられ、それゆえ、超越的存在を信じること=宗教は、強力な癒し効果があるということを実践してきました。
それは、宗教と医術が、人類の進化上同じものであるということから来ているのだと、改めて知りました。