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鍼灸治療と動的平衡

 私は、生物学者福岡伸一氏の「動的平衡」というセオリーを、金科玉条にして、生き物すべてに当てはまるセオリーだと思っています。
 生命現象は、絶え間ない流れの中において、内外の出入り可能な細胞膜のようなものによって、つかの間生じたような淀みのようなものであり、その流れは動的平衡状態にある。
 その動的平衡状態を維持するためには、まず、膜の内側を破壊し、そして、再構成するという順番のプロセスが必要であるということ。
 生命は、壊す→作るの順番で、維持されるというものです。
 鍼灸治療は、針という侵害刺激、皮膚を刺す(=壊す)行為により、身体の動的平衡を作り出す作用があるのではないかと、私は考えます。
 お灸による熱刺激も。ただ、最初の「壊す」が、動的平衡を喚起するためだけの、微妙な量でなければ、平衡状態を作り出すことができなくて、そこに、治療者としての腕の見せ所があるのかなあとも感じています。